最近目からウロコだったこと。

少し前に、某掲示板(この街で住んでいる日本人にはおなじみの、あのサイトです)で盛り上がっていたのが
「新鮮な野菜はどこで買えるのか?」と言う話。
私ももう4年近く、「この国ではおいしい野菜は食べられない」とか「この国は食文化に乏しい国だ」とか信じてきましたが
その掲示板での討論(?)はまさに目からウロコの話でした。
要は、「日本は良い物が降って来る国で、ここは良い物を取りに行く国だ」ということ。


こちらのスーパーで売っている野菜やお肉ってすごくしなびていたり、傷んでいたり、「何でこんな物売ってんの?」とボヤきたくなるものが多いけど
そもそもこちらのスーパーと言うのは、安さと利便性(といっても日本でのそれとは比べ物にならないけど)だけを追求した形であって
その代償として物の質やら新鮮さやらが二の次にされているものらしい。
で、質を求める場合はどうするかというと、個人商店(肉屋や八百屋など)を1件1件周り、
さらに新鮮さを求める場合は車を飛ばして郊外の農家などに買いに行くのだそうな。
そう、ここでそこそこの質の材料を手に入れようとすると買いに行く手間と時間とお金を惜しんではいけないのだそうです。


かたや日本では大きなスーパーになればなるほど、安くて新鮮で品揃えが豊富、ですよね。
個人商店なんて品揃えは良くても値段では負ける、すると回転が悪くなるので質も落ちる。その結果スーパーに負けて閉店してしまう。
前から何でここではいまいち大きなスーパーがなくて、個人商店がこんなに残っているのだろうと不思議に思っていました。
値段だってスーパーの1.5倍ぐらいするし。
でもその理由は「スーパーが質と安さを同時に追求しない」ということだったんですね。


じゃあ質も安さも追求するスーパーを作れれば大儲けできるんじゃない?!と思うのですが、なんでできなかったか。
ここからは憶測ですが、これってもともとこの国の人は狩猟民族だったからなのでは?
つまり、彼らは「獲物は自分で狩りに行く」民族な訳です。
きっと彼らは良い物を手間と時間をかけて手に入れることに喜びを感じているに違いない。
それこそがきっと何よりも「おいしい!」と感じさせるスパイスな訳です。
それに対して日本人は農耕民族なので狩りに行かずにその場でどんどん生産していく民族です。
採りに行かなくてもひとりでにどんどん出てくる。
良い質のものを少しでも安く出してくるお店が勝ち組となる社会なんですね。


その前にこの辺の人ってそんなに食にこだわるわけ?と思いますよね。
私もその辺はよくわからないんだけど、あるところにはあるのがこの国なのだそう。
日本のように言わなくても出してくれることはないけれど、知る人ぞ知る物があちこちにあふれているのだそうです。
スーパーで買うことこそが安さと質を満足させられると信じている日本人(私も含めて)が
安さだけを求めているこちらのスーパーを見て食文化のない国と思ってしまっているのは
こうして考えるとなんだかもったいないことですね。
日本人が全く思いつきもしない郊外のどこそこで今日も上質な何かを求めて行列ができているのかもしれません。


で、最近試しているのが近所のお肉屋さんで買うハム。
スーパーのパックのハムより高いし、いちいちおばちゃんに「これをどれだけちょうだい」って言わないといけないので面倒なんだけど、確かにおいしいです。
これまでは値段ばかりに目が行ってしまってなんとなく敬遠してたのですが
高い分だけ新鮮で安全なんだなー、とかみしめながら食べてみるとまた買ってみようかなと思えるようになりました。
子供に食べさせるものはちょっとでも添加物の少ないものがいいし。
無理して高い物を買おうとは思わないけど、せっかくだからひとつぐらいこの国ならではのおいしいものを楽しむのも悪くないですね。


それにしても野菜一つにしてもこんなに国民性がはっきりと現れるとは。
4年たって初めて知った一面でした。
なんかこれで論文一本ぐらい書けそうだな。